小学4年生と5年生の算数のお話。
2023/10/30
はい。中田です。
北海道では雪虫が大発生!というニュースを目にして、寒暖差激しいなあというのを改めて感じます。今年の夏は暑かったですが、気が付いたらもう冬はすぐそこですものね。北陸に居た頃の記憶だと11月のすぐくらいには激しい雷が轟く日があって、そうすると一気に冬が近づくイメージです。温度差で体調を崩さないよう気を付けていきましょう。
さて。今回は算数の話です。このところ中学生の話が多かったですし、そろそろ小学生の算数の話もしたかったんですよね。というわけで、早速いってみましょう。
【算数のターニングポイント】
そういうものがあるんだとしたら、それは小学4年生なんじゃないかと思います。以前、○○の壁について語った時にも少し触れたことなのですが、小学4年生というのはそれまでの算数と違って、単なる計算だけではなく問題文を読んで文の意味を考えることが本格的にスタートする時期です。たとえば、下の問題を見てください。
問1、20本の鉛筆を4人で分けると、1人がもらえる鉛筆は何本でしょう?
この問題の着眼点は「分ける」と書いてある部分です。
なので、式は20÷4=5となりますから、答えは5本になりますね。
そんなの当たり前じゃん。と大人は考えがちですが、実際には小学生は案外そういう風に考えていなかったりします。ではそういう子はどう考えているかというと。
「前回まで割り算を使って計算の練習をしていたから、今回は文章題だけどきっと割り算を使えばいいんだな。てことは、20と4の間に÷を入れて……式は20÷4=5。答えは5本だ!」
と答えます。……これ、答えはあっていますし計算もできているんですが、算数の問題を『考えていない』んですよ。でも式も答えも一応は合ってしまっているので、ちゃんと生徒のことを見て指導をする先生じゃないとかなり見落とすパターンでもありまして。正直、予備軍も含めるとかなりいます。そして、とても危険です。
なぜなら、そういう考えない癖の付いた子たちが大苦戦をすることになるのが小学4年生という学年だからです。4年生になると問題はこういう変化を見せ始めます。
問2、20本の鉛筆を4人で分けた時、2人がもらえる鉛筆は何本でしょう?
実際にはもうちょっと数字や聞き方が違ったりもするんですが、さっきの問題に聞き方を合わせるとこういう変化をします。今回の問題は、分けた後に2人分の所持した鉛筆の合計を出す問題ですね。式としては20÷4×2=10。となります。
しかし、中にはこれが答えられない子もけっこういるんですよ。20÷4までは書けるんですが、その後の2をどうしたらいいか分からない子がいます。そして、そういう子の大半は小学3年生以前に「算数を考えない癖」をつけてしまった子だったりします。
また、こういう問題にも弱かったりしますね。
問3、20人で4Lの牛乳を分けた時、1人分の牛乳の量は何Lでしょう?
……うん。こざかしい問題です。この問題は、4L=4000mlとして、4000÷20=200と答える単位をそろえる問題か、あるいは4÷20=0.5とする少数の文章題で出てくることがあります。いずれも出てくるのは小学5年生ですが、これもやはり20÷4=5と答える子がけっこう居ます。これもまた問題の意味を考えていませんね。
こうした状況はやはり先にも言った通り、ちゃんと生徒の出来る・出来ないを分析しないと見えてきません。問題を解かせて、合っていたか間違っていたかというだけでは案外わからなかったりするものでして、そのまま出来ない状態に気付かず、あるいは放置して中学生に上がると、今度は算数が本格的に文章の意味を考える科目である「数学」に変わるため、一気に出来なくなったり苦手になったりするわけです。文科省の平成17年の調査では算数が好きという小6生は55%だったのに対して数学が好きな中1生は28%だったというのもこうしたことが原因なのかもしれません。
慧文塾では「考えること」と「文章をよく読むこと(国語力)」に力を入れて指導していますから、そうしたことも見えてくることがけっこうありまして、ただ問題を解くのではなく声に出して読んだり、着眼すべき点に線を引いてから考えるように教えています。ほんのちょっとの工夫ですが、効果は目に見えて現れています。もしかしたら自分も考えずに「なんとなく学校の勉強の流れで」問題を解いているなあ、という子は試してみると良いかもしれません。
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