久しぶりにまた数学のお話。
2023/06/10
はい。中田です。
6月になりまして学校もイベントがいろいろ動き出しているようですね。そういう時は逆に、授業の進行が予想外に遅れたりして学校ごとに勉強の進捗がまちまちになるので塾側としては少し大変なのですが、生徒の皆さんからすると授業の進行がちょっと緩やかになるありがたい時期でもあります。学校の行事や部活、イベントはもちろん大事ですが、こういう時期にこそ復習に力を入れられるといいですね。
さて。もう1ヶ月とちょっとすると夏休みですね。その前には定期テストもあります。そこで今回は、以前にお話した「皆さんが苦手なあの教科」について、もう一度私の考え方を語ってみようと思います。では早速いってみましょう。
数学のお話です。
苦手な人、多いですよね。わかりにくい。練習してもできない。シンプルに難しい。テストで点数が伸びない。だから苦手。だいたいそう言われる科目です。
わかります。というか、むしろとてもよくわかります。だって難しいもんよ、アレ。
……しかし、塾の先生をしていて子どもたちの誤答パターンを何度も見ていると、なぜ数学がそんなに嫌われているのかの理由もおおよそ見えてくるわけでして。まずはその理由についてザックリ挙げてみると。
①問題を読んでない
②考えていない
③解き方が分からない
④練習が足りない
だいたいこの4つになるように思います。
問題なのは、この4つの改善方法が全部違うことですね。つまり例えばですが、『①が出来ていない子が③についての努力……参考書を熟読しても効果がほとんどない』ということです。そして、それについてのおそらく1番の弊害は
数学の勉強は④の「練習」だと思い込んでいる子と保護者の方が滅法多いということです。
でもそれだと上記の例と同様に、①~③に問題がある場合に「練習」だけをして改善しようと試み続けることになり、結局伸ばすべきところが伸びず全く成績が上がらない。という事態が起きるわけです。そんな砂漠に水をまくような苦行みたいなことを延々とさせられていたら、そりゃあいつかは数学が嫌になっちゃいますよね。
これが数学が難しい、そして嫌いな子が多いとされる理由です。
しかし実はそれだけではありません。この④ばかりを続けて、「練習」を最重要視することを攻略法と勘違いしてしまった子にはさらなる不幸が襲い掛かります。
このタイプの子は、いつしか『いつものやり方』というものを練習によって身に付けることに成功します。この『いつものやり方』を使えば、直近で習った計算問題や簡単な文章題ならば特に何も考える必要なく解けてしまうという結構なスグレモノではあるのですが、
見たことのない問題や形式の異なる問題には通用しない、という問題がありまして。
それどころか「考えていない・考えることに慣れていない」ということが災いして、そういう少しひねったタイプの問題が出題された場合、例外なく確実に答えを間違えてしまう。という事態を招きます。中学生で出題される文章題は基本的にそうした罠を多く含んでいますから、そういう罠に全部引っかかると大体テストの点数は30点くらいになるようになっています。
そこからは罠に引っかかる比率との戦いですね。定期テストの平均点がおよそ65点くらいに落ち着くように作られているのは、こうした仕組みによるものなのです。
ですから、数学の問題は「解くための手順」が肝で、何をどう答えればいいかを見抜いてからよく考えて解くことが一番大事なわけです。テストが始まったからっていきなりヨーイドンで解き始めるなんてもってのほか。まずは
・何を訊かれているのか、何を答えればいいのか
・そのためには自分の知識の中で何をどう使えばいいのか
・自分が過去にそれと似たタイプの問題を解いてどういう失敗をしたのか
をそれぞれ分析しないといけません。その問題がどういう種類・性質の問題で、それを解くにあたってどういう留意点があって、何に気を付けながら相対しなければならないのか。そして自分は以前その問題と似た類例問題と対峙してどういう苦戦したかを全て見抜いて踏まえて、そのうえでじゃあどうしようか。という手順で解き始めることが大事なんです。
そこまでやって初めて、前述の「練習」が効いてくるわけです。というかそこまでやらないと「練習」は効果を発揮せずテストの点数が伸びません。数学が苦手な人や嫌いな人の多くは、このように「練習」ばかりをしてしまっていて、それ以前の必要な①~③を軽視していたり、あるいはほとんどやっていなかったことに問題があるように思います。
まとめますね。
数学は5科目の中で一番「勉強しなさい」と相性が悪い科目です。
子どもたちに何の説明もせずやり方を示さず、ただ「勉強しなさい」とだけ言うと、その子はほぼ間違いなく「練習」をやり始めてしまうでしょう。他の科目でも「練習」から始めるのは悪手なのですが、数学は特にその弊害が顕著です。まず、問題を読んで何を訊かれているかをイメージできているかを確認するところからチェックしてみるといいでしょう。まさかそんな簡単なことが……と思ってしまえるのは保護者の方々が大人だからであって、案外子どもたち自身はそここそがよくわかっていなかったりします。その認識の差もまた、数学という科目の難しさの一因なのではないでしょうか。
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