国語力とは
2022/05/26
はい。中田です。
慧文塾はテスト期間も終えていよいよ夏に向けて本格始動です。学校の授業も続々と新しい単元に入ってきましたし、ここからの学習が夏での成績の伸びに関わる時期です。1日1日を大事にしていきましょう。
さて。今回は、前回の質問に答えてみたところその繋がりで今度は「読書すれば国語力ってあがりますか?」と生徒から訊かれたので、そこらへんについて高校受験だけでなくその先も含めての話をしていきたいと思います。では、いきましょう。まず
Q、読書すれば国語力ってあがるの?
A、いいえ。多少は効果はありますがそれだけだと意味ないすよ
えっ、なぜ?と思われるかもしれません。なので例で説明しましょう。
ある人が美術館に絵画を鑑賞しに行ったとします。そこでその人は有名な画家の絵を見て、感動して、「いい絵だな~」と呟き、その絵をしっかりと心に刻みました。そして感動冷めやらぬまま美術館を出ようとした時に、出口の前にパネルが置かれていてこう書かれていました。
「さっきの絵に描かれていたリンゴの数は何個?」
その人はリンゴの数がわからず引き返してもう一度絵を見に戻ったのでした
ずいぶんと嫌な美術館だな。というのはひとまず置いておくとして、そんなパネルに遭遇した大概の人は、この人と同様に思うんじゃないですかね?「そんなところなど注意して見とらんわ」と。中には、絵に感動してじっくりと眺めることで、リンゴの数にも着目して記憶していた人もいるでしょうが、そうでない人も相当数いると思います。
この場合、「いい絵だな」と感動をしているわけですからこの人は全体の色合いや図柄、構図や筆致を眺めて絵を味わっています。しかし、リンゴの数は直接感動を与える要因ではなかっためちゃんと見ていなかったのでしょう。
そう。これは鑑賞と観察の違いです。この人はちゃんと鑑賞はしていますが観察は不十分だった、というわけですね。
これと国語の問題はほぼ同じことなんです。
普通、読書は内容が面白い・興味深いことを期待して本を手に取ります。物語なら感動や見識を、論説やハウツー本ならば新しい知識を、エッセイやグルメ本とかでも期待することは同じで、書かれている内容を味わうために鑑賞として読むことがほとんどです。
だから絵画鑑賞と同様のことも起こりえます。例えば「そのグルメ本の18ページ目、そのラーメン屋の店主のこだわりは?」とか問われたらどうでしょう。やっぱり「そんなところ見てない」になるのではないでしょうか。
これが国語の問題の性質です。国語の問題は内容そのものを問うてきますから、鑑賞するのではなくちゃんと観察までしていなければ答えられない質問なのです。そして、その観察のやり方やコツを学び、理解して、正しく扱えるようにするのが国語の勉強なのです。読書だけしていても国語の成績が上がらないのはそういう理由だからですね。また、「うちの子は読書しないから国語の成績が上がらない」というのも厳密には正しくはない、というのがこれでお分かりいただけたかと思います。
Q、じゃあ読書って国語の勉強の役には立たないの?
A、いいえ。少なくとも、文章を読む速度が上がるのはとても重要だと思いますよ。
高校入試以上に大学入試の国語、現代文は完全に時間との戦いであることが多いですから、小学生や中学生のうちから鍛えておくことは絶対に必要だと思います。それから、前回にもお話した「イメージ力」の成長の面でも読書は最も効率のいいコンテンツなのも間違いありません。絵がないからこそ(子どもたちはそれが面倒くさいから読書を厭うというのもあるのですが)自分の想像に委ねられるのは慣れると楽しいですし想像力が養われます。また、単純に、短い時間で非常に多くの知識や見識を得ることができるという面も見逃せないメリットです。私自身、高校の授業で学んだ生物・化学・日本史・世界史の3分の1くらいは中学の時に読んだ本ですでに軽く知っていましたし、大学の講義の内容もかなり既知のものがあったように思います。何より読書は国語の役に立つかどうかというより、人生の役に立つものという印象が強いですね。できる限り読書はした方がいいと思います。
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