語彙力の必要性。というお話。
2023/09/29
はい。中田です。
最近は朝夜の気温がしっかりと秋らしくなってきましたね。来週にはもう10月ですから、この今週中にはまた長袖のワイシャツを出したり私服も衣替えをしなきゃなあと考えて、少し面倒な気分になっています。日頃から「ちゃんとした生活サイクルを」と言っている先生でもこれですから、日々忙しく学校に通っている子どもたちが緩んでしまうのもわからなくはないですね。
とはいえ西大宮周辺の中学でもそろそろ定期テスト期間ですし、そうも言ってはいられません。通常の勉強とテスト勉強の両立が難しい時期ですが、だからこそ基礎を見直して簡単な問題の取りこぼしをなるべく減らすことを目指して勉強していきましょう。
さて。基礎の見直しをする上で欠かせないのが『国語力』です。
なにしろ5教科のどの教科書を読むにしても最低限の国語力は必要でして。実際に目の前で教科書を読んでもらっても、読むことはできても実際には目を通しただけで頭にはあまり入っていない。つまりは理解できていないということは案外少なくなかったりします。これではせっかくの教科書読みが無駄な時間になってしまいますし、子どもたちとしても「これって意味あるのかな?」ではやる気も下がります。
この『教科書を読んでいるのに理解できない』というのには、4つのパターンがあると思います。すなわち
①そもそも興味がない。興味がなくて蓋をしている。
②教科書を読むのが作業になっていて、実は理解しようとしていない。
③使われている言葉の意味や単語が分からなくて頭に入らない。
④用語や単語や繋がりは分かるが、細部をイメージ出来ない。
というものです。
①については、正直なところ自宅学習での改善は難しいですね。学校で良い先生に巡り合うか、塾やそれ以外の場で良い師に出会うか、興味のないことだけれどまずは飛び込んで本気で向き合う覚悟を決めるかぐらいしか方法はないと思います。
②についても、しっかりと作業ではない教科書の読み方を経験してそれを意識しながら改善していくことが必要ですね。できれば塾で指導を受けることをお勧めします。
で、問題は③と④でして。これらこそ当ブログの話題に以前からよく出てくる国語力とイメージ力が関係しているわけですね。今回は特に③の、その中でも語彙力についての話をしていこうと思います。
【語彙力(ボキャブラリー)について】
『語彙力』というとなんだか難しい気がしますが、簡単に言ってしまえばこれは「使える言葉の数」のことです。これが多い人は必然的に理解力が高くなりますし、説明力も高くなります。
たとえば、今まさにお腹が痛いという状況でそれを誰かに伝えたい時をイメージしてください。この際に、『お腹』という言葉を知っていたら話は一瞬で済むのですが、もしも『お腹』という言葉の意味を知らないとなると説明するのに別の単語で代用しなければいけなくなります。また、お腹と一口に言ってもその中の臓器は色々ですからもっと詳しい説明が必要な時には『お腹』では説明不足で伝わりません。さらには痛みの種類についても知らなければ説明できないでしょう。(……私は刺された経験がないので未だに刺すような痛みがどんなものなのか、自分がイメージする刺すような痛みが一般的なそれと同じなのか少し悩むことがあります)
そういう時のために、言語にはそれをより詳しく説明する単語やなるべく短く説明するための単語が存在します。そしてそれをどれだけ深くたくさん知っているかが語彙力の差になっているわけです。前述の例で言うなら、
・胸の下の骨がないところの右下の部分が、ずっとズキズキとすごい痛い。
・お腹の右下、お臍よりさらに右下の箇所に、強い鈍痛が継続してある。
なんとなくですが下の方が詳しくて賢そうですよね。それは下の分の方が分かりやすくなっていてイメージしやすいからです。このように、語彙力があると他者に何かを説明することがとても簡単になるのです。
しかし、語彙力も桁違いな差が出ると今度は途端にイメージするのが難しくなります。例に出してみましょう。
・東の空が赤い。
・空が東雲色に染まっている。
まさか空が血の色みたいに赤いわけじゃないでしょうし、普通に考えれば具体的に色を示してくれている下の方が詳しい説明です。しかしこの『東雲色』がどんな色なのかを知らない人にはそれがどんな色の空なのかをイメージすることはできません。
これは、語彙力が足りないために相手の説明を理解できていない状態なわけです。
国語の説明文や論説文の意味が分からない。というのは、イメージ力の不足によるものなのは間違いないのですが、そのイメージ力が不足している原因の一つがこの語彙力不足だったりします。では、それはどうやって改善していけばいいのでしょうか。
長くなりましたんでそれは次回に書くことにします。
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