勉強における大切なお話。 (数学と論理性)
2023/06/17
はい。中田です。
ここ数日いきなり暑くなりましたね。昨日なんか30℃を越える地域もけっこうあったようで。今年はどうやらこのまま夏になるのかもしれませんね。とはいえ、ちょっと前には南米の方でエルニーニョ現象も確認されたようですし、気候はどうなるかはわかりませんから、体調にはくれぐれも気をつけて行きたいものです。身体を壊しては勉強も何もないですからね。
というわけで今回なのですが。私が以前に書いたブログを見ていて、「んー。やっぱりこれはもう一度言いたいぞ」というものがありましたので、多少の手直しの上で再掲載をすることにしました。最近数学の話が多かったので、その締めの意味でも載せたいと思います。
ではいってみましょう。
数学って楽しいですよね。
……いやもちろん、わかりにくい。練習してもなぜかできない。難しい。テストで点数が伸びない。だから苦手。嫌い。という声が多いのはわかります。むしろ子どもたちの数学が苦手な理由はとてもよくわかるし、共感もできるんです。でもそれって「数学の勉強がキツイ」から苦手意識が生まれているのであって、けっして「数学が使えていない」とか「数学そのものが面白くない」というわけではないんじゃないかって思ってたりします。
というのも、数学ってわりとみんな自然に使ってたりしますよね?
最たるものは買い物ですが、実はその他にも数学が活躍する場面は意外に多かったりします。これは、数学において一番大切な『論理性』というものが、この世界におけるあらゆることの基礎になっているからなのですが、その説明をする前にまずここで、「自分は数学が苦手」と公言している私のゲーム友達の話を紹介しようと思います。
友「ふうん……中田の残りHPが4800だから、あと3ターン後に回復入れるね。おそらく今のままならうちら6人パーティだし回復しても8ターン後にはこのボス倒せるから」
友「防御スキル使うとダメージ2割減るからそれなら4ターン持つよね」
友「このデッキで初手に必要なカードを引く確率はだいたい7分の1だから……」
友「あと、2連勝できれば今日の勝率は6割超えるから」
……君、どう考えても数学できるよね?
1つ目はこれって簡単ではありますがれっきとした二次関数ですし、
2つ目は割合を使う一次関数で、なおかつちょっと応用が含まれるタイプのものです。
3つ目はわりとめんどくさい確率計算。少なくとも暗算でできるものではないですね。
4つ目も割合計算ですか。計算は簡単ですがある程度数字に慣れてないといけないやつ。
彼はこれらの計算を遊んでいる時にその場で考えて、何の気なしに呟いているのですが。
……もう一度言いますね。君、数学できるし使いこなしてるよね?
なんとも不思議な話ですが、このように「本当は数学は得意なんだけど苦手意識が強い人」はけっこう居るものでして。私はこれが「数学の勉強は嫌い」と「数学が出来る」の間に直接の繋がりがないからなんじゃないかと考えています。「数学が出来る」ためにはもちろん数学を好きになるのは近道なんだとは思いますが、MUSTじゃないんじゃないかというわけですね。個人的には、「数学が出来る」ために必要なのは論理性なんじゃないかと思うわけでして。
ではその肝である論理性とは何か。
これは「考え方の筋道・思考の組み立て・思考の妥当性の保証」とかよく言われるのですが、すっごいわかりやすく簡単に言ってしまうなら、
『AとBが正しく繋げられる・繋がっていることを理解できること』だと思います。
説明しますね。
・お腹がすきました。解決するためには?
この場合、「お腹がすいた」というAと、「それを解決する」Bをつなげる必要があります。
この二つを繋げる手段は「何か食べること」であり、これを組み立てると
お腹がすいた→何かを食べる→解決(お腹いっぱい)になります。この繋がりは間違ってないですから、この繋がりは論理性がある・論理で保証されているということになります。
逆に、真ん中に別のものである「運動をする」を入れてみましょう。すると
お腹がすいた→運動をする→解決(お腹いっぱい)になります。これはありえない繋がり方をしていますから、「お腹がすいた」という主張に対して「運動をすればいいじゃない!」というのは「論理性がない」と言えるわけです。
え?これがどうしたのかって?じゃあ次の例でいきますね。
・家が火事だ。火を消すには?
この場合、「家が燃えている」というAと、「火を消す」Bをつなげる必要があります。
この二つを繋げる手段は「水をかけること」であり、これを組み立てると
家が火事だ→水をかける→火が消えるになります。この繋がりは間違ってないですから、この繋がりは論理性がある・論理で保証されているということになり……
ますか?はい。ここ罠ですよー。
この火事が油火災や電気火災の場合、火は消えませんし事態はおよそ悪化します。なぜなら、火に水をかけて消えるのは、火が燃えるための酸素の供給を水が断つためで、油火災の場合は油の下に水が入り込むので火が吹きあがるんですね。
この仕組みを知らない人は正しい論理を組み立てられないため、正しい道を選ぶことができず間違った答えに辿り着いてしまいます。特に、経験や慣れから「火を消すなら水」と思い込んでいる人は、論理で考えずに経験で考えてしまうことが多く、ほぼ間違いなく間違った答えを選んでしまいます。
そして最後にもう一つ見てみましょう。
・180円のリンゴをいくつか買って、100円の箱に入れてもらい、2000円出したらおつりは460円でした。リンゴはいくつ買ったでしょう?
式を組めますか?
この場合、「180円のリンゴ(A)」と「いくつか(B)」を掛け合わせて繋げるわけですね。さらに「100円の箱(C)」も合わせて「買う」で繋げてあげる必要があります。そして最後に所持金の2000円から代金を支払うわけですから、式は
2000-(180×個数)+100=460
になりますが、これもしっかり相互を繋げる論理の問題ですから、
繋げ方が分からない・問題を読んでいない・内容が理解できないまま解こうとすると、意外に式組みを間違えてしまったりします。特にこれはトライアル&エラー方式の勉強に慣れ切った小学校高学年や中学1年生くらいによく見られる現象ですね。先生がよく「問題をよく読め」「考えるんだ」と言ってくるケースのほとんどは、これです。
そして、中学2年生以降の数学では、公式や数式を活用しながらいかにこの論理を組み上げていくか、ということが問題を解く上での中心……というかほぼ全てになっていきます。そして高校生以降になると、今度は数学以外の科目でもそうした論理の組み上げを求められる場面が増えていきます。最後に大学受験ですね。近年の大学入試ではこの「繋がり・繋ぎ方」を問う問題がほとんどを占めています。
簡単に言うと「頭を使う問題が多い」ということなんですが、それはつまり論理性が問われるということでして。勉強が出来るようになるには、問題をたくさん解くよりも先にまずは前提となる知識を身に付けることと論理性を鍛えることが必要不可欠なわけです。だから、
まず、ちゃんと問題を読みましょう?問われていることの内容と意味をまず考えましょう?
解くのはそれからってことです。
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