算数と数学の違い

はい。中田です。

先日生徒からいい質問を受けたので、今回はそのことについて少し語ってみたいと思います。そうなると質問に答えるのタイトルでもよかったんですが、質問に答えるというよりは自分の考えがかなり多くなると思ったのでいつもの書き方でやっていこうと思います。

 

Q,算数と数学って何が違うの？なんで中学になると名前が変わるの？

 

いい質問ですね。そういう小さな疑問はとても大事です。でも実際にはおそらくかなりの人が疑問に思っているのではないでしょうか。これ、言葉の字面だけで考えれば、小学生のうちは計算主体のお勉強。中学生になると応用的な学問に変わってくる。と予想はできるので、そのように考えて納得している人が多いように思います。一応その通りではありますし。

しかし、厳密にはどう違うのかというと少し難しいですよね？なので、これはあくまでも私の私見ではありますがと言ったうえで、答えてみたいと思います。

 

当塾は西大宮にあるわけですが。そこから隣(電車で２駅)の大宮に向かうとします。

どういうルートと交通手段で行きますか？

という課題が出されたとしましょう。それに対して、

「一番簡単で早い方法は駅まで歩いて電車に乗ることです。その方法で行ってください」

というのが算数。

「電車を使う方法①とバスを使う方法②と自転車で行く方法③と徒歩の④があります。どれもいいところと悪いところがあるので、なるべく早くてなるべく簡単で、なるべく安価な道筋を自分で考えて選んで大宮に到着してください」

「あ。でも、一応言っとくとオススメは①ね」

というのが数学。

この課題、よくよくみるとどのみち電車の使用を推奨されているので、解答者としては素直に「じゃあ電車を使います。方法①で」となってしまい、最終的には違いが分からなくなってしまうことも多いのですが、実際には「考えるという工程をを間に挟む」という点でプロセスに大きな違いがあるというわけです。

ですから、小学生の算数では先生は授業で「このタイプの問題が出たらこうやって解きなさい」と教えてきます。それ以外の方法は遅かったり分かりにくかったりミス率が高かったりするので基本的にはナシです。そのため、先生が推奨する以外のやり方を使って問題を解くと、バツをもらったり下手をすると怒られます。（私は実際に小学生の時に特殊計算を駆使したり方程式を使って問題を解いたりして先生に窘められた経験が幾度もあります）

これ、自分が小学生の時には「なんでバツなんだ⁉答えはあってるじゃないか！」と思ったものですが、自分が先生になってみるとその理由がよくわかります。あれってつまり先生の教えた手順を聞いてない・無視してる。つまり言われたことができてない。わけですよ。「先生に言われたことを出来るようにする」小学校の教育とはズレているわけですね。

それに対して、中学に入って数学に変わると解答までの道筋までを求められるようになるため「どんな方法を使っても、その筋道が正しくちゃんと答えにたどりつければOK」です。しかし先生の推奨していないルートを独自で進もうとすると、あるいはそれとは反対に何も考えずに「いつもの道筋」に固執したりすると、たいがいは答えを間違えるか、もしくはとんでもなく時間がかかってしまったりします。また、問題も少しずつ複雑さを増していきますからちゃんと理解して考えて応用しないと出来るようにはなりません。

なので算数と数学の「苦手」な理由を目的地移動に例えてまとめると

 

算数……

１，「先生の説明は聞いたけど、大宮までの行き方が分からないよ。電車ってどう乗るの？」

２，「大宮に着きゃあいいんだろ？自転車で行くぜ！」→迷う

数学……

１，「大宮への行き方はわかるけど、仙台ってどうやって行けばいいの？電車の乗り方が分からないよ！」（結局方法としては同じだけど応用ができない）

２，「仙台への行き方ってたくさんあるんだな……よくわからないからオレはテキトーに『一番やり慣れているやり方』の自転車で行くぜ！」→迷う

 

ちょっとわかりにくくなってしまったような……まあいいか。ともかく。

小学生には「言われたとおりに出来る力」を育てるために算数があり、

中学生には「考えて応用する力」を育てるために数学があるんですよ。